5編からなる小説。小説を発表して4冊目の会心の作。何気ない日常を切り取りスリラー風に纏めているが、驚く巧妙なトリックや大胆なストーリーは展開されない。前職がうかがえる刑事ものは、流石に生き生きと書かれている。筋立ては勿論のこと、その会話は、恰も読み手も殺人現場に参加しているような錯覚で引きずり込まれる凄みを感じる。忙しない今の世のなか、非日常の世界で美しい自然や優しい人々に出会うのも心癒され必要ではないだろうか。「あとがき」にもあるように、「わたしの小さな説」小説はいかがでしょうか。